読書メモ ワンオペ育児 育児は仕事の役に立つ
育児は仕事の役に立つ 「ワンオペ育児」から「チーム育児」へ (光文社新書)
- 作者: 浜屋祐子,中原淳
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2017/03/16
- メディア: 新書
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- 作者: 藤田結子
- 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
- 発売日: 2017/06/21
- メディア: 単行本
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考えたこと
少子化も、ワンオペ育児も、原因はわかっていて解決できていないように見える。 原因は長時間労働で、長時間労働さえ解決できればもろもろの問題が解決できるだろうが、解決する動機が雇用者側にないのでこのままズルズルと緩やかに社会が破綻していくんだろう。
生産性向上、といったところですでに十分に生産性を高めて働いている場合は、長時間働くしか無いし、厳しい競争に晒されている業界だと、単純に生産性高くx長時間働ける人のアウトプットはどう見たって多い。
生産性が十分に高い状態になったとしても、待っているのは長時間働ける体力・気力に恵まれた言うならばブラック耐性のある人だけが生き残る世界なのではないだろうか。
単純に労働時間にキャップ制を設けるだけで、社会問題が解決しそうだが、残業代なしで生産性高く長時間働いてくれる労働者ばかりなのだから、そんな制度にはならなそうだ。
残業したくてしてるのではなくて、競争に晒されているので極限までアウトプットを多くするために長時間働くしか無い、ギリギリまでやらないと生き残れない、そういう業界も多いのではないだろうか。
ワンオペ育児 メモしたところ
育児や家事は対価が支払われない「無償労働(アンペイドワーク)」
イリイチがシャドウ・ワーク、と言ってから何年経つのか、家事や育児が労働である、という認識があまりされていないように思う。こどもが産まれてから、仕事がもう一つある、という感覚を持つようになった。家の仕事と、会社の仕事で、家の仕事がなければ会社の仕事にパラメタを全振りできるので、家の仕事がない人たちと競争していくのは相当に辛い。
親たちは育休中にある種の「労働」をしている
子どもを実際に育ててみないとこの感覚は理解されないだろう。育児休暇で資格を取ったりキャリアアップ、という雑誌記事が出たりしているのも原因だろうが、そんな余裕がない、人たちが大多数だろう。
日本の企業の多くは中核的な社員を無限定に働かせ、競わせる人事制度を取っています
まさにこれが問題で、限定がない状況下で競争させられると、生き残るために長時間働くしかなくなる。それでも育児があったら保育園の送り迎えもあるし、限界がある。
家事育児分担図
家事育児の夫婦での執念の分担図を何度か見てるが、あまり共感できない。まだ減らせる家事がいくつもあって、限界まで減らした状態で分担図を改めて作って欲しい。
上図で削れるまたは頻度を月に1回ぐらいに下げられる、無視できるぐらいの負荷にできるものとして、例を挙げると
- ゴミ捨て → 24hゴミ捨て可能な各階ゴミ捨て場のマンションにすればだいぶ楽になる
- ゴミ集める → ゴミ箱をやめてビニール袋にダイレクトにゴミを入れる。捨てるときはそのままビニール袋ごと入れる。1枚数円。
- 洗濯物を干す・たたむ → 干さないたたまない。ドラム式洗濯機で乾燥までする。しわになる服は買わない着ない。
- 哺乳瓶消毒 → うちでも第一子ではミルトンとか使ったが、食器洗い乾燥機の高温洗浄で殺菌は十分
- トイレ掃除 → 洗浄機能のあるパナソニックのアラウーノを使えば月1程度でもそんなに汚れは気にならない
- 掃除機→無駄。ルンバとブラーバで毎朝家を出る時間にタイマーで、家中を掃除させてる
- 結露拭く → 無駄。インプラスなどの内窓をつければ結露はなくなる
- 買い出し → 生協を活用して毎週届けてもらう。ネットスーパーは注文が面倒で数十分取られるので使わない
- ベランダ掃除 → いらないでしょ
- 公共料金支払い → カード払いにしようよ
- 朝食片付け → 紙皿、紙コップ、使い捨てスプーン、フォークにすれば洗い物が出ない
- 麦茶づくり → 紙パックの麦茶で解決
ぐらいはまだまだ削れる。削った上でこういう図を描かないと盛っている印象が拭えない。 時間が最も貴重なので、お金を少しかければ時間を削れるものはお金をかけて時間を作っている。
家事育児タスクの中で削ってもそれなりの負荷が残って大変なのは、
- 保育園送り迎え
- ご飯の準備・配膳
- 食器洗い乾燥機に食器を入れる
- 子どもを風呂に入れる
- こどもの歯磨き
- 子どもの寝かしつけ
だろうか。
育児は仕事の役に立つ メモしたところ
育児によってある種の仕事に役立つ能力が伸びる、というのは定性的には感じていたので、こういう本が出たのは喜ばしい。中原淳先生の共著で、こんなに面白い研究をしているのを
- 作者: 中原淳
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2017/04/30
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で知って読むのを楽しみにしていた。
リーダーシップ能力の向上が見られる
子どもを育てていると、誰かに助けてもらいたい、助けてもらうしか無い、という局面に出くわす事は結構あって、そういうときに協働、ヘルプシーキングしたりすることが能力向上につながるんだろう。
ラグビーの選手のようにボールを落とさないようにパスしあっている
子ども==ボールで、2人でパスしあっている状態なので1人が倒れると1人でボールを持ち続けるしかなくなってしまう。ずっと感じているけれど2人というのはチームとしては脆弱で、1人の子供に対して2人は欲しい。2人子供がいたら4人ボールをパスし合えるぐらいのチームがいいのではないだろうか。東京だと難しいけれど、地方ならできているのが羨ましい。
東日本大震災のとき(中略)帰宅するまでフローレンスの方に守っていただけた
うちも子供が小さい頃はフローレンスにはお世話になったけど、この話は知らなかった。 フローレンスのスタッフの方たちはどの方も責任感があり信頼できる感じで安心して子供を任せることができたので、東日本大震災のときのこういった行動も納得がいく。
育休利用経験が、時間管理能力や、仕事を効率的に進める力を高める
生産性生産性、言うならばこんなに確実に生産性を高められる育休を、男性も取りやすくなるのではないだろうか。
最近は企業の中でもワーママ会、パパ・ママ会
うちの会社もSlack Channelで子供がいる人向けのチャネルがあって、相談したりしている。 会社付近に住んでいる人も多いので、病院の情報だったりも交換できるし、保育園のパパ・ママ会とは意外とプライベートで子どもたちの話はしないので、相談ができる貴重なチャネルだ。
育児と人格的発達
育児をすると人格的な発達が促されるが、もっとも寄与が大きいのが「家庭外との連携」の経験というのは面白い。