赤ちゃんの粉ミルクを作るのが面倒です


こんな質問が発言小町で出たら説教回答で埋まりそうだし、ベビーカーの件に限らず、子育てに関して面倒とか大変とか言うとそれに対して批判される風潮を感じるけど面倒なものは面倒だししなくていい面倒や苦労はしなくていいと思う。自分たちがした苦労をしないなんて許せないお前も苦労しろ的なやりかたは誰も幸せにしないと思うのだけれど。エクセルの1行1行を真心込めて1日かけて手修正したほうがマクロで数秒で終わらせるよりも評価が高かったりするのも同じ心の動きかな。苦労することが美徳、しなくてもいい苦労をするのが美徳、人がしている必要もない苦労をしないことが悪徳、効率化は悪徳と。


食事は手を抜いたらダメだとは思うものの、掃除や洗濯は別にルンバと乾燥機付き洗濯機に放り込めばそれで十分。
別に苦労することや面倒なことを面倒なままこなすことは美徳ではないと思うから。
簡単なことは簡単にやって、手をかけるべきところに重み付けするのが正しいのではなかろうか。


東日本大震災のあとで赤ちゃんのミルクを海外から輸入しようとするMilk for Japanという動きがあった。
世界のミルクを日本へ☆USA発☆Milk for Japan




この時まであまり知らなかったのだけど、日本で赤ちゃんに与える粉ミルクの作り方、
1 哺乳瓶を熱湯で消毒
2 粉ミルクを測って哺乳瓶に入れる
3 沸騰したお湯で粉ミルクを溶かす
4 哺乳瓶を水で冷やして肌と同じぐらいの温度にする
(この間赤ちゃん10分ぐらい泣いたまま)
というのは別に世界共通なわけではなくて、ペットボトルに入ったミルクに使い捨て乳首をくっつけてあげればすぐに赤ちゃんに飲ませれる便利な液体ミルクがある。


液体ミルクだったら
1 手を洗う
2 ボトルをよく振ってフタを開ける
3 使い捨て乳首をつける
だけで赤ちゃんにミルクをあげられる。
生まれてからの三ヶ月間でこれが使えたらどれほど助かっただろうと思う。
もちろん粉ミルクに比べれば高上りではあるのだけど、寒い夜中に何度も起きて赤ちゃんを泣かせたまま待たせて哺乳瓶を冷やすなんてことしなくてもベッドサイドにおいておけば泣いたらすぐにあげられたのに。

ちなみに粉ミルクでも、
1 手を洗う
2 哺乳瓶に粉入れて”水”入れて溶かす
3 振る
というシンプルな手順で消毒云々は特にないし熱湯で作る必要もないみたい。海外の粉ミルクは日本となんか違うのかしら?なんで日本は熱湯消毒とか熱湯で作って冷やす、みたいな面倒くさい手順なんだろう。水で粉ミルクを溶かした場合、哺乳瓶を自然乾燥させた場合、お湯で溶かした場合、哺乳瓶を熱湯消毒しなかった場合、でどれぐらい細菌繁殖とかに差があるんだろうか。もちろんそういうデータの裏付けがあった上での今の調乳手順になっているんだろうとは思うけれど。


日本の粉ミルクメーカーが調乳済みミルクを作らないのは不思議。社会的責任意識が高い産業だと推測するし、ビジネスとしても利益が出ないとも思えないし。法律的な制約もあるみたいだけど、それは今みたいに滅菌状態で食品を製造する技術がなかった時代の話で、阪神大震災の時も液体ミルクがあれば大きな助けになったことがわかっていながら東日本大震災でもまた海外から輸入するしかないというのはとても残念な話だと思う。


災害時への備えというのは、災害時のためにしておくべきことももちろんあるんだろうけど、常日頃から災害耐性の高い暮らしをしていくほうが頑健な社会が作れるのではないかと思う。災害のためだけの備えというのをずっと続けることはとても難しい。


液体ミルクがダメならば、使い捨ての哺乳瓶と使い捨ての乳首がピジョンやチュチュベビーあたりから販売されていればそれだけでも災害耐性は高められるのではないだろうか。使い捨ての乳首や哺乳瓶は、髭剃りのホルダー商法じゃないけど粉ミルクのビジネスモデルを変えるインパクトがあるかもしれない。宅配水みたいな新しいビジネスモデルができるかも。


災害が起きないのがいちばんだけど、次回起きてしまった時にまた赤ちゃんが飲むミルクに困る、なんて事態にならないといいなと思うし、楽に子育てできる道具や仕組みがあるならばもっと積極的に使えるような社会であって欲しいと思う。


Milk for Japanというプロジェクトが道半ばにして終わってしまったのはとても残念で、粉ミルクメーカーや行政方面に向けて調乳済みミルクを販売させる方向付けができればよかったのになぁ。