TPPに賛成すべきか反対すべきかわからない

競争賛成=自由貿易が拡大するTPPも賛成?
基本的には競争原理が働いたほうがサービスや製品は良くなると考えています。

Youtubeで見た中野剛志さんの主張が腑に落ちるものだったのだけど、いいところがさっぱり無いようなのでよくわからなくて判断できない。
両面提示できないぐらいにデメリットしか無いのかな。

この件にかぎらず、自分がどう思うか、について意見をもつのは知識不足もあってむつかしいなぁ、とつねづね感じています。

TPPへの暴走を許さない国民的な共同をよびかけます/――暮らし・食料・農業・地域経済を守るために力をあわせましょう/2011年10月14日 日本共産党
極端な方がわかりやすいので共産党の立場も見てみた。

農林水産業をこわし、食料自給率を大幅に低下させる

国民が食べる米の9割以上が外国産米になる、なんて事態は考えづらいのだけど、関税がなくなるだけでそんな状態になるんだろうか?
外国産米っておいしくて安いのかしら?おいしくて安いならありえるかな。

でも、「日本の関税はすでに十分に低い」「すでに開かれている」っていうのと矛盾しない?

国民皆保険制度が崩され、医療崩壊がすすむ

国民皆保険制度が廃止されると何が起きるのだろう?
そもそも現在の保険制度だと、高齢者の医療費負担が現役世代に大きくかかりすぎているし崩してしまったほうが良いのでは?
断固堅持しなければいけない、というほど良いシステムなんだろうか。

国民皆保険制度がなくなれば安易な受診もなくなるだろうし、大量に薬を出すことに対して疑問をもつようになるだろうし、健全化する方向なんじゃないのかな。今の保険制度だと自分が受けている恩恵よりも、ぼったくられている感が強すぎて、崩壊したほうがいいんじゃないかという疑念が晴れない。喫煙者とか不健康な生活してたり自己責任でリスク高くしているような人の分まで保険料払いたくない。

喫煙者は自費診療になれば、喫煙者減ると思う。自分からリスク高めてるんだから保険使う必要ないよね。

産婦人科みたいに一定額のバウチャーみたいなのを出して負担を下げるとか、分娩費用の公費負担みたいな制度でもよいと思う。
いずれにしても予約すら電子化されてないとかカルテももらえないとか何時間も待たせて平気な病院がたくさんあるし、非効率なシステムは是正されてほしいな。株式会社化されたら効率化されるのでは?

自費診療中心の歯科医院だと、何時間も待たせたり不快な対応されたりしないよね。もうけ本位だとしても、自費診療だとそもそも良い材料が使われたり滅菌が徹底されたり、望ましいサービスが受けられる、選択肢が増えるのはよいことだと感じる。

地域からの撤退や不採算部門の切り捨て、って今も起きてるんだからあまり変わらないと思う。
「お金を出しても医療サービスを受けられない」よりは、「お金を出せば医療サービスを受けられる」方が好ましい。
選択肢がなくなるよりも、選択肢が増えるのならば歓迎すべきことではないのかな。

労働法制の大改悪の引き金に
アメリカ政府は、「ただ働き残業」を合法化するホワイトカラー・エグゼンプションの導入や、会社が自由に解雇できる「解雇の金銭解決」、労働者派遣法のいっそうの規制緩和など、アメリカ型に日本の労働法制を改悪することを要求しています

何が悪いのかわからない。
共産党は、「ただ働き残業」が日本には無い、っていう認識なのかしら?
労働形態はアメリカ型になる方がむしろ健全化するんじゃないかと思うけれど。

一部の輸出大企業だけが巨額の富を蓄積し、国民の所得が奪われ、国内需要が押し下げられ続けた

一部の輸出大企業、なのにそんな影響があったの?本当?
一部というからには数社なんだろうけど、どの会社だろう?

よくわからないこと

日本とアメリカって内需が中心の国じゃないんだっけ?

TPP各国は日本の内需を狙っているのかな。

だとしても、良い製品が安価に入ってこない限りは特に問題がないと思うのだけど、無理やり買わされたりしちゃうの?
関税によって高くて品質の低い製品やサービスが守られていて消費者が不利益を被っている例って何かあるんだろうか。
思いつかないのだけど。

国防と外交としてみたときはどうなんだろう?

軍事においては兵站と数が何より大切、という原則はいつの間にか変わったのかな。
TPPで国内の農業がダメになるとして、戦争や世界規模の異常気象なんかでの有事の際に食料が確保できなくなるような事態はきっとまずいよね。
でも、そもそも今も食料自給率って低そうだし、影響はあんまりないような気がする。そもそもなんで今の食料自給率がそんなに低いのか、という話からはじめないとなんとも言えないか。なんで低いの?

GDPで見ると実質アメリカと日本だけの関係になる?

NYTとかでもさっぱり話題になっていないTPPだけれど、アメリカと日本との関係だという割には報道が少ない。
しかも日本だとこんなに話題になっているのにどうしてなんだろう。
日本とアメリカの関係になると言いながらアメリカ側はさっぱり興味なさそうだけど片思いなのか?

比較優位って知ってる?

知ってる。これからの正義的な本と橘玲の翻訳本にも書いてあった。
比較優位の原則が働くから、TPPで安くて品質がいい製品が国内市場を席巻しても、淘汰された業界の人たちは、他の国では作ってない製品を作る仕事に転職するから大丈夫だよ、
という話だと理解していてそれはたぶんある程度正しいんだろうと思う。

でも、リンゴ農家が廃業して他の職業につくことって多分無理だよね。
比較優位の原則が働くのは第三次産業内で現在働いている人に限定されるんじゃないだろうか。
第三次産業→第三次産業はできるだろうけど、第一次産業→第一次産業は多分不可能に近い。
たとえば、今現在ソフトウェアエンジニアをやっている人が教師になる、
というのは現在農業をやっている人がソフトウェアエンジニアになるよりは敷居が低い。

比較優位というのがどういう移動を想定しているのかわからないけど、
農業に従事している人のダメージは医師や教員、ソフトウェアエンジニアよりも大きいんじゃないだろうか。

比較優位がたとえ働いたとしても、今ソフトウェアエンジニアとして働いている人が農業に転職したとして、同じ収入を維持できるとは思えないし、より「強い」製品・サービスが入ってきて転職を迫られたときに働く「比較優位」は、元のバランスを維持することは想定していないと思う。
食べるには困らないよね、というレベルで比較優位の原則が働くだけなんじゃないだろうか。

農業壊滅するよ?食の安全が脅かされるよ?

そもそも、関東中越以北は放射性物質で相当程度に汚染されているはずで、
大雑把に日本の半分弱の地域での農産物が汚染されていることになる。
半分がすでにダメになってる、という状態だとすれば農業は壊滅的な状態と言える。

すでに壊滅しているとすると、外交のカードとして有効に使うという目的があるならば農業をカードとして切るのはありなのかもしれない。
汚染されていない食品、おいしい材料を食べたい場合は現時点でもOisixなり大地を守る会なりで買っているんだから、そういう消費者はあまり影響を受けないのかな。それとも、Oisixや大地を守る会の野菜を求めるTPP参加各国の需要が増えて、価格が上がったりするんだろうか。

放射性物質で汚染された国の食品をあえて買おう、という需要は生まれないと思うけれど、国際競争力を高めて高付加価値農産物を輸出して農業が世界に打って出るんだ!という考えは相当におめでたいんじゃないかと思うんだけど。

食の安全もなにも、脅かしてるのは日本自身じゃないか、と思う。生産者も自治体も国も、食の安全を確保しようとなんてしてないじゃないか。