放射線・放射能の話題に付いて行くためのイメージを整理しよう
3月11日から一週間ぐらいは、周りの人と放射能・放射線と原発について熱く議論することができていたのだけど、それ以降は徐々に「もうよくわかんない」といった反応が多くなってきて、最近はめっきり意見を交換することができるひとがまわりにいなくなってきた。
自分で考え、自分で決めろ、が基本だと思うのだけど、「で、安全なの安全じゃないのどっちなのさ?」と思考放棄している人が観測範囲内に予想以上にいることにも驚いている。
親の世代にも自分で判断できるようになって欲しいのだけど、どう説明すればいいのか悩む。
恐怖を煽ってもしょうがないし。テレビだけだとちゃんと情報が出てないっぽいし。
親の世代以上は放射線の影響がそんなにないだろうからいいとして、
その子供や、孫たちは保護者の理解不足で放射線を浴びすぎてしまうのではと心配している。
周囲の観察では、ニュースについていけなくなった、ついていこうとするのをやめたのは、下記のタイミングが多かったように感じる。
自分の考えの整理と、テレビしか見ない人に説明してわかってもらうときのためにも、情報源とイメージをまとめておこう。いろいろ見てるんだけどむつかしくてついてくのが大変。
あとはどの情報を信用すべきか、この情報の信頼度がどれぐらいあるか、この人の言っていることは正しいのか、信じるべきか、の判断も大変。
今回の放射線と原発の話は、一概に安全だとも危険だ逃げろとも言えないグレーな事態がずっと続いていて、得られる情報からそれぞれが「まだ大丈夫」「とりあえず関西へ逃げよう」という判断を個々に行わなくてはいけない状態なんだと思う。安全だとは言えないけど、どれぐらいリスクを取りますか?というのを自分で決めなくてはいけない状態であることが混乱の要因でもあるんじゃなかろうか。
福島県で起きているのは、「ダメだ逃げよう」とたとえ判断しても避難勧告が出ないと仕事を放り出して逃げることもできず、子供たちを逃がすこともできないというひどい事態だと感じる。行政としては、まずは安全側の選択をして避難勧告なり屋内退避なりの手段をこうじるべきだと思うのだけど、人の命と何だと思っているんだこの国は。
中性子とか陽子とか高校物理でちょっとやったことしかなかったのもいたいなぁ。。
たぶん@itokenstein先生が執筆している本にはイメージから具体例まで分かりやすく書かれるのだろうと楽しみにしている。
親とか、テレビしか見ない人たちに放射線をどういうイメージで説明するか、
というのを整理しておこう。原発についても別途考えを整理しよう。
放射線のイメージ
今回の原発のニュースだと、なにはともあれ放射線のイメージがないとわかりづらい。
放射線、とひとくちにいっても、主に4種類ある。
いまいちイメージは湧きづらいけど、重さを持った何か、が飛んで来るのがα線・β線・中性子線、光のような波がγ線、かな。
重さを持った何か、は
α線は重たくてでかいボウリングボールみたいなのが飛んできて、
β線はピンポン玉みたいなイメージ、
中性子線はビー玉みたいなのが飛んでくるイメージ、
γ線は魔貫光殺砲、というイメージ、
でいいか。
α線はでかいので簡単に止めることができて、紙とかガラスがあれば大丈夫。でも、デカイのになんで簡単に止められるんだろう?
β線は小さいのでそれなりにすり抜けてくるけど、薄い金属の板で止められる。
γ線は波なので止めづらくて、コンクリートとか鉛の板がないと止められない。
中性子線も「モノ」が飛んで来るのになぜか止めづらいらしい。なんで?中性だから?
要するになんか小さいんだけどものすごい早さで何かが飛んでくるんだから当たったらケガするよね、
というのが放射線ということかな。
放射能とは?
放射「能」というのは、放射「線」を出す能力のこと。
放射能と放射線の関係は蛍のイメージがわかりやすい。
ホタルやチーズで例えるとわかりやすい 放射能と放射線の違い by中部電力 - KandaNewsNetwork KNN
ホタルノヒカリが放射線、ギラギラできる能力が放射能。その蛍が放射性物質。
ギラギラ度合いを表す単位がベクレル。
とりあえずα線なのかβ線なのかγ線なのかよくわかんないけど
ギラギラしてる!というのを表すのがBq、ベクレル。
ベクレルだけだと、なぜギラギラしているのかはわからないので、
ギラギラしているのが何か、というのがヨウ素131とかセシウム137とか言っているやつ。
ベクレルの値がそんなに高くないからと言って安心してはいけなくて、
「なにがギラギラしてるのか?」がわからないとなんとも言えない。
とりあえず蛍の群れがギラギラしとるなー、ということしかベクレルからはわからない。
なので、今の政府とか農協とか水道水とかの説明で「〜ベクレル以下だから大丈夫!」とは一概に言えなくて、「なにがギラギラしてるのか?」を確認しないといけない。
ギラギラがα線だったりすると、ボーリング玉みたいなのが飛んできているので当たると危ないけど、紙一枚あれば防げる。このα線=ボーリング玉を出す蛍がプルトニウムで、プルトニウムが体内に入ると中からボーリング玉をだすのでやばー(人体への影響は預託実効線量で計算)、ということで一時期騒がれた。のだと思う。
ちなみによく耳にするヨウ素131とかセシウム137は、γ線を出してる。
今回の原発で問題になってるのは、原発から蛍が出てきて飛び回っていることで、飲み込んだり吸い込んだりすると身体の中でギラギラしてなかなか出て行かないから。
蛍が人の身体の中に入ると、ホタルの種類によってドコに吸収されるかが異なる。
ヨウ素だと甲状腺だし、ストロンチウムだと骨、といったように放射性物質の種類によってどこに影響が出るかが変わってくる。
人へのギラギラがどれぐらい影響するか、を表す単位がシーベルト。
ベクレルだけだと人への影響はよくわからなくて、人への影響を測るためにはシーベルトで確認する必要がある。食べたときにどれぐらいの量の被曝があるかは、先日やったような面倒な計算が必要なので、
ベクレル(Bq)、シーベルト(Sv)計算・換算
みたいな計算してくれるサイトを使うと良さそう。
半減期って?
蛍がギラギラしていられる時間のこと。
半減、というからには半減期たつとギラギラ感が半分になるイメージ。
ヨウ素131が半減期8日というのは、8日経つとギラギラ感が半分になって、16日経つとギラギラ感が最初の1/4になって、、、というようにギラギラ感が減っていく。
セシウム137は半減期が30年と長いので、少なくなるまでには60年とか90年とかの単位でかかるし、1/1024になるには300年かかる。今回の福島の土壌汚染で問題になるのは半減期の長いセシウム137の方で、郡山や二本松あたりでも2000ベクレル/Kgぐらいが出ている。
郡山の放射線量も、2マイクロシーベルトぐらいで安定してきたけど、空間放射線量に占めるヨウ素の割合は1ヶ月経って減ってきたので、セシウムの放射線量が支配的になってきたということかな。
どれぐらい浴びたら危ないのか?
年間1mSvの基準は意識しておきたい。低線量の被曝でどういう影響が出るのか、はよくわかってないそうな。
今回の避難勧告も出ていない福島や郡山、自主避難の地域の疫学的な調査が今後きちんと行われればわかるのかもしれない。
現時点では、私は放射線は浴びないに越したことはないと考えている。
今、福島県から遠いところにいる人は、強い理由がないのならあえて近づく必要はないと思う。
短期的に行くのであればN95のマスクをして放射性物質を体内に取り込まないようにして、食事と水にも気をつける。
行くところの放射線量は確認してから行く。
もっとも、各地の放射線量の生データを見ようとする人ってあんまりいないみたいだけど。。
行政も生データじゃなくてわかりやすく提示すればいいのに。。恣意が入るからそれもむつかしいのかな。。
マイクロ、ミリ、キロ、メガの単位(今日はテラが・・・)をわかりやすく説明するにはどうしたらいいんだろう。。なにかよいイメージはないだろうか。。
参考資料
福島原発の放射能を理解する
よくまとまっている。
やはり教科書や本は体系だてて知識を入れるならいちばんか。
ありがたいことに無料公開。読めるようだったらこれはいい。
後藤政志が語る、福島原発事故と安全性
説明が非常にわかりやすい。↓のCNICの動画が大いに参考になる。
原子炉関係だと抜群。
もっとあるので整理して追加する。
UStreamなど
活字を読まない人には動画をみせるのが一番。
- CNIC
- 上杉隆氏の自由報道協会の報告会
http://uesugitakashi.com/?p=717
これまでをまとめて振り返っていたのでわかりやすかったみたい。
- 松本市市長の動画
http://www.city.matsumoto.nagano.jp/aramasi/sityo/kaiken/teirei20110322/index.html
この動画を見てもらうと恐ろしいことが起きるかもしれないんだ、
とわかってもらえる。
- NHK チェルノブイリの真実
http://www.youtube.com/view_play_list?p=8176A4F5A94A8B09
こんなのを過去に放送していたNHKの今の報道の腫れ物に触るようなやりかたはなんなのかと不信感が募る。
本
世界の放射線被曝地調査―自ら測定した渾身のレポート (ブルーバックス)
- 作者: 高田純
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チェルノブイリや、他の被曝地がどういうことになっているのか、というのがまとまっている。
2002年の本なのだけど、出てくる数字を見ていると「今の福島県の方が高いじゃん・・・」というのが。。