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レビュー:アイの物語/山本弘 寝る間も惜しんで読んだ物語は久しぶり

アイの物語 (角川文庫)

アイの物語 (角川文庫)


アイは愛でありIでありiでありImaginaryであり虚なのだな。

id:dankogai氏が紹介していて、絶賛していたので買おうと思ったらAmazonで既にdankogai効果のために発送は一週間後となっていたので、会社の帰りに本屋さんで見つけて買って来た。


寝る間も惜しんで夢中になって読んだ物語は久しぶりだった。橘玲マネーロンダリング以来じゃないだろうか。そう考えるとほぼ十年ぶりか。これは文句なしに人に薦めることができる希有な本だ。物語でそういう本はとっても珍しい。


これはSFと言って良いのかわからない。SF小説だと、現実との乖離を感じるのだけど、この物語は現実との乖離感が極端に少ない。夢日記を書いて、半年ぐらいしたときに、「あれ?あれは夢だったっけ?」というような感覚と似ていて、ものすごい現実感を持っている。


読んでいて何度も感動した。どうしてこんなに感動するのだろう、という感覚の感動で、とても珍しい。


記憶に関して、記憶こそが生であるという見方があったけど、その観点だと私の高校時代は生きていないのと同じ事だな。記憶がないから。


有限の寿命と、肉体という制約を持ったヒトが作ったマシンが、その思いを永遠に紡いでいくというのは興味深い。生きている間にそうなったら良いな、と思うけれど、あと数百年はかかるだろうし、TAIが産まれるようなブレイクスルーが起きるとも思えないのはとても残念だ。


不完全なヒトだけど、完全なマシンを作れるという発想は、造物主を超えられなかった被造物がそのsuper.superに近づくという連鎖と見ると面白い。


AIの研究って、どこまで進んでいるのだろうか。楽しそうだけど、目的地が見えているけれど、その距離が一向に縮まらない仕事になりそうだから、しんどいだろうな。目的地はあまりに遠いし、遠すぎて進んでいる実感も得られないだろう。ヒトは、まだまともに会話ができるAIすら開発できていない。
Hmx-12への道は遠いな。