レビュー やればわかるやればできる/小倉昌男

やればわかるやればできる―クロネコ宅急便が成功したわけ
小倉 昌男
講談社
売り上げランキング: 14799
おすすめ度の平均: 4.5
5 「経営は論理、だから考える必要がある」(本文から)
5 「そんな堅固な城も落城することあるべし」
3 好調な時こそ注意する。
5 やっぱりスゴイや、この人!


京セラの稲盛和夫さんにも通じるところがある、経営に関する信念を語った強烈な思いを感じる本だった。もっと経営者、経営のあり方が注目されてもよいと思うのだけど、注目されていないのはなぜだろう?

あまりクロネコヤマトの経営について語られることがないような気がするけれど、既にインフラとなったクロネコヤマトのすごさの源泉は、創業者小倉昌男の経営理念にあったのだということがよくわかる。

もともとは社内向けに書かれていた文章を本にしたものらしいけれど、社内向けであるがこそかもしれないが辛辣で、従業員を信じる、顧客は第一であるという信念が貫かれている。


書かれていることは、今年になってから書かれたと言われてもそうかと納得してしまうような内容ばかりで、経営に関する課題というのは、50年ほど前からさして変わっていないと言うことがよくわかる。ワークライフバランス、女性の活用、モラルハザード、能力主義、年功序列の弊害、人材獲得、人材教育、今も変わらず指摘されていることばかりだ。

もう、クロネコヤマトはインフラになっていて、ないことが想像できない。私は郵便よりもクロネコヤマトの方が、届く量も頻度も多い。クロネコヤマトはほぼ毎日来るけれど、郵便は週に2,3回だ。私企業が、国営からの転換ではなくインフラを作り上げた例というのは日本だと他にないのではないだろうか。ひょっとしたら世界的に見ても珍しいのかもしれない。
経営としても利益がでなくても、どんな田舎でも届ける、集荷をする、ネットワークを作ることに腐心してきた事が書かれている。


30年、40年も前に書かれたとはとても感じられない。それは時代によって変わることのない経営における共通した課題、信念について語っているからだろう。
クロネコヤマトはすごいことがよくわかる本。最近読んだ経営関係の本ではピカイチ。

付箋したところメモ

たくさんあったので一部だけ。

会社に損を与えてもいいから、人間の倫理に外れた行動は、絶対に取らないでもらいたい

コレを、トップがきちんと社員に伝えている会社は珍しいのではないだろうか。
「人として正しいことをせよ」というのは稲盛和夫とも共通していることだけど、クロネコヤマトも同じ理念を持っていたというのは興味深い。

上司が休みのときは上司の代役をする

これ、つい最近も誰かが言っていたような気がする。課長の教科書で酒井譲さんが言っていたのかもしれないな。

コレが書かれたのは30年前。

Plan do check

30年も前から同じ事が言われているのか。。

歩はと金

これもつい最近どこかで見たような。。
amazon:シリコンバレーから将棋を見るかな?

人柄の卑しい人は、責任の重いポストにつけません。

卑しいというのは、自分一人だけ点数を上げようとする人、上役にぺこぺこするくせに部下に威張る人、物質的に意地汚い人、タダ酒を飲みたがる人、責任を回避して逃げる人

倫理観の高さがリーダには求められると。
得てしてこういう人が偉くなりがちだよな。

酒癖の悪い人は責任の重いポストにつけない

これを明言しているのは珍しい。
車を扱う仕事だからか、それとも倫理観の高さから来るものなのか。